映画「骨を掘る男」桜坂劇場にて上映中、7月12日よりミュージックタウン音市場にて上映

(C)Okuma Katsuya, Moolin Production, Dynamo Production

沖縄戦の戦没者の遺骨を40年以上にわたり収集し続けてきた具志堅隆松。これまでに、およそ400柱を探し出した。

彼は自らを“ガマフヤー”と呼ぶ。ガマは沖縄の自然壕、フヤーとは掘る人という意味だ。砕けて散乱した小さな骨、茶碗のひとかけら、手榴弾の破片、火炎放射の跡…。
拾い集めた断片から、兵隊か民間人か、どのような最期をとげたか推察し、想いを馳せ、弔う。掘ってみるまで、そこに本当に骨が埋まっているかどうかはわからない——
それでも掘りつづける行為を具志堅は、観念的な慰霊ではなく「行動的慰霊」だと言う。

(C)Okuma Katsuya, Moolin Production, Dynamo Production

沖縄本島には激戦地だった南部を中心に、今も3000柱近くの遺骨が眠っているとされる。
沖縄の人びとや旧日本軍兵士のものだけではない。米軍兵士、朝鮮半島や台湾出身者たちの骨を含んだ島の土砂が辺野古新基地のための埋め立て工事に使われようとしている。

(C)Okuma Katsuya, Moolin Production, Dynamo Production

監督の奥間勝也もまた沖縄戦で大叔母を亡くした戦没者遺族である。
しかし、生まれるはるか以前に亡くなった大叔母とは会ったことがない。具志堅の遺骨収集に同行し、沖縄戦の膨大なアーカイブ映像に目を凝らし、大叔母の生きた痕跡を探す奥間は、繰り返しこう自問する。「出逢ったことのない人の死を悼むことはできるのか?」 その問いはやがて「平和の礎」に刻銘された24万の名を読み上げるいくつもの〈声〉と共鳴し、戦火と分断の時代を生きる私たちを震わせる。
どうすれば遠く離れた人の痛みとともにあることができるのか? 新進気鋭の映画作家が生まれ育った沖縄の歴史と今を見つめた次なる世代のドキュメンタリー。

出演 具志堅隆松(ぐしけん・たかまつ)
沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表。
1954年、沖縄県那覇市生まれ。82年、ボーイスカウトの成人リーダーとして糸満市と具志頭村(現・八重瀬町)の境の原野での遺骨収集に携わって以来、活動を続ける。年に1度行われる本土の遺骨収集団の行事に参加していたが、出土する遺骨が年々劣化していることに気づき、個人での収集を始める。2008年、真嘉比地区で、はじめての市民参加型の遺骨収集を那覇市との共催で行う。これまで探し出した遺骨はおよそ400柱。遺骨を戦没者遺族のもとへ帰すためDNA型鑑定にかけることを厚生労働省に要請し、2011年にこれが認められ、沖縄戦戦没者の身元特定の道をひらいた。

監督メッセージ

具志堅さんはひとりで黙々と土を掘っている。最初はそう思っていた。しかし、どうやらそれは違ったようだ。具志堅さんは、まるで自分が誰かに見られているような感じで掘っていることに気づいた。
沖縄で遺骨収集を続けていれば、何回かに一回は遺骨が出てくる。掘り出した骨を見ながら具志堅さんといくつか言葉を交わすと、やがて、無言で骨を見つめる時間がやってくる。しかし骨は何も語ってはくれない。見続けていると、見ている私たちを骨が見返してくるように感じるときがある。「あぁ、これか」と思った。
だから具志堅さんは自分がとるべき行動をとり続けるのだし、私はこの映画を作りきったのだろう。どうかあなたにも見てほしい。(奥間勝也)


日時・会場

那覇市桜坂劇場
6月22日(土)~

沖縄市ミュージックタウン音市場
7月12日(金)~

チケット価格

  • 全国共通特別鑑賞券1400円(税込)発売中
    (オンライン座席予約には使用できません)

映画『骨を掘る男』公式サイト

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